主権者教育 若者と選挙 若者の政治参加

若者の投票率だけをあげれば良いの?

投稿日:

漫画で選挙啓発?

自民党が5月に発表した政策パンフレット「国に届け」の中で描かれている漫画「軽いノリじゃダメですか?」をご存知ですか?

軽いノリで選挙に行こう!と、若者の選挙啓発が目的につくられたであろうこの漫画は、果たして良い選挙啓発と言えるのだろうか?

この漫画に関する記事が、毎日新聞に掲載され、J-CEFでもご一緒したことがあり、静岡のイベントにも来てくださったことがある東洋大学助教で、模擬選挙ネットワークの林大介さんがコメントを出していました。

なぜ『若い力が必要』なのかが伝わってこない。

この漫画を読んだ東洋大助教(政治学)の林大介さんは「うーん」と腕組みをしたまま困った表情を浮かべた。

各政党の政策パンフなどを使って高校生が模擬投票をする活動を続けている林さんの率直な感想は「この漫画を見て投票に行こうという気持ちになるでしょうか。なぜ『若い力が必要』なのかが全く伝わってきません」。

林さんは「漫画は社会問題を分かりやすく伝える意味では有意義なツール」と一定の理解を示す。その上で「投票を迫るだけでは、民主主義に不可欠な賢い有権者を育てることにはつながりません」と苦言を呈するのだ。

より物足りなさを感じているのは、アスカさんが「選挙行った?」と母親に尋ねているのに、母は背を向けたまま「期日前投票でお父さんと行ったわよー」と答える場面。「子どもが初めて投票するのだから、各党の政策を見比べたりして一緒に考える場面がほしい」と林さん。

若者世代の投票率が低いといわれて久しい。その理由について林さんは「『政治は自分に関係する身近なもの』という意識が薄いから」と説明する。このパンフに収録された座談会では、若手国会議員が「白票だっていい。ぜひ投票に行ってください」と呼びかけるのだが−−。

賛否いろいろあるとは思いますが、林さんが指摘するように、「漫画は社会問題を分かりやすく伝える意味では有意義なツール」です。

この漫画を見ると、若者は何も考えずに投票だけをすれば良いように見えます。若者の投票率が高いのは確かですが、もう少し違った伝え方はできなかったのでしょうか。

女子高生は政治的なことを考えなくてもいい?

「選挙に行って」との願いをよそに、この漫画には多くの批判が出ている。「『女子高校生は政治的な問題を深く考えなくてもいい』というメッセージだと受け取られても仕方ありません」。

こう指摘するのが、「欲望のコード マンガにみるセクシュアリティの男女差」の著書があるジェンダー・漫画研究家の堀あきこさんだ。

 堀さんは「アスカさんは参院選自体を知らず、投票を、好きな浅倉君に近づくチャンスとしか捉えていません。

しかも投票前にちょっと調べただけで、佐藤君に『へえ、えらいね』とほめられる。

佐藤君は別の場面で『僕たちも何かしなきゃね』と話すのですが、政治を主体的に考える男子とアスカさんとの落差があまりに大きい」と憤る。

また、ジェンダー・漫画研究家の堀さんが指摘されている「女子高校生は政治的な問題を深く考えなくてもいい」というメッセージだと受け取られてもおかしくないというのも、確かにそうだなと思います。

今回はたまたま、女子高生は軽いノリで選挙をするという設定であったわけですが、政党のパンフレットであるのならば、男女の設定や漫画の内容なども検討が必要だったのではないでしょうか。

投票率だけをあげればよいのか?

この自民党のパンフレットに限らず、各地で有名人をキャラクターにしたり、漫画やアニメなどをつかった選挙啓発が行われています。もしかすると、選挙へのイメージが変わり、若者の意識変化につながっているかもしれません。しかし、これで若者の投票率があがるのは、本当に良いことなのでしょうか?

選挙とは、間接民主主義のもとに行われるもので、自分の意見を社会に反映させるひとつの手段です。それなのに軽いノリで選挙に行くことが、本当に良い選挙なのでしょうか。

今の社会は若者の政治離れと言われますが、社会が若者を馬鹿にしていて、社会の若者離れに思えて仕方ありません。

改めて、選挙とは何か?政治とは何か?について考え、選挙啓発について考え直す必要があつのではないでしょうか。

nformation

このブログ書いている人。

まちづくりって美味しいの?

2000人の若者も動かした、僕らの政策の変え方(298円)

-主権者教育, 若者と選挙, 若者の政治参加
-,

執筆者:

関連記事

神奈川では小学生から政治参加教育を。

Contents小・中学生から政治的教養を!早い段階からの取り組みは重要!スッテプ・バイ・スッテプのカリキュラムを学校外での実践も交えて 小・中学生から政治的教養を! 高校生に向けた主権者教育が注目さ …

若者のボトムアップで始まったドイツの模擬選挙、学校外で投票シュミレーションU18 〈ドイツレポ vol.1〉

2017年11月11日〜19日までの約1週間、ドイツ連邦外務省の招聘を受け「ドイツにおける政治教育」をテーマに視察をしてきました。 2014年9月にも同様のテーマで、NPO法人Rightsが主催する視 …

投票権がなくなっても、若者は困らない?焼津市明推協の研修会を担当

Contents3年間連続で焼津市明るい選挙推進協議会の研修会でファシリテーター&講師を担当市議会議員選挙に生きる啓発アイデアを考えるぶっちゃけ、投票権がなくてもいい? 3年間連続で焼津市明る …

県知事も「おもしろい!」と言った若者の政治参加を進める3つの提案

Contents新春知事対談〜明けまして、ボクらの未来〜「若者」が大きなキーワードだった2016年日本一、若者が主体のまちを目指して社会への閉塞感と仲間外れ感。だからこそ、若者が主体のまちをつくりだす …

若者の参加評価研究vol.1「18歳選挙権の実現と若者の政治離れの必然」

Contents「若者の社会参加を推進する自治体政策の評価に関する研究」vol.118歳選挙権の実現と若者の政治離れの必然。①政治化②脱政治化③再政治化④18歳選挙権時代本論文の全文はこちらから 「若 …