つぶやき 参加のまちづくり 子ども・若者の参加

ロジャー・ハートの参加のはしごから考える「中高生を使い物にするまちづくりが流行りなの?」

投稿日:2016年9月4日 更新日:

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地方創生や18歳選挙権の流れから全国でぐっと中学生・高校生をまちづくりに参加させる取り組みが増えている印象を受けます。

中学生や高校生であっても、そのまちに住むひとりの「市民(citizen)」であるわけですから、自分のまちに関わる機会や環境が増えてきたことは単純にいいことだなと感じています。

まちや社会に意見を表明する権利

また、子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)の12条に「意見表明権」があるように、子ども・若者たちにもまちや社会に対して意見を表明する権利を有しているわけですから、本来的にはこうした(まちづくりに参加・参画する)機会は保障されていなければいけません。

1 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。

2 このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続きにおいて国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。

(児童の権利に関する条約 12条「意見表明権」)

「とりあえず」「なんとなく」「利用しよう」が否めない

しかし、なんとなく国内の子ども・若者参加の動きを見ていると、上に書いたような「ひとりの市民としての参加の機会」「子どもの権利条約を基盤にした参加」というよりは、

「とりあえず中学生・高校生呼んだ方がいいよね」

「若い子たちがいたほうが盛り上がるでしょ」

「高校生がいた方がメディアに取り上げられやすくなる」

といった、「とりあえず」「なんとなく」「利用してやろう」的な風潮のものが多い印象を受けます。

中学生や高校生がまちづくり活動や社会活動に関わっていると、感覚的に「いいね」とポジティブな印象を持ちます。ネガティブな印象を持つ方は少ないでしょう。

でも、この「いいね」という感情をもっと深堀する必要があります。具体的には、「なぜいいと思うのか?」「(それに対して)何がいいと思うのか?」が重要だと考えています。

“権利に基づく参加”とそうでないものの決定的な違い、ロジャー・ハートの「子どもの参加のはしご」

上で紹介した「とりあえず」「なんとなく」「利用しよう」の取り組みと、「子どもの権利条約」などを基盤とした参加との圧倒的な違いは、その(取り組みの)主導権を誰が握っているのかです。

子ども・若者の参加を8つの段階に分けて、はしごの形で図示化したロジャー・ハートの「子どもの参加のはしご」を見ると、よりわかりやすくそれがわかります。

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ロジャー・ハートの子ども参加の梯子

中学生・高校生を参加させる「とりあえず」「なんとなく」「利用しよう」の取り組みは、このはしごの非参画(1~3の段階)であることが多いです。というかほとんどだと思います。

例えば、中学生や高校生から「まち」に対する意見を聞こうということで会議やワークショップをする取り組みをよく見ますが、

そのテーマ・議題を決めているのが大人だけだったり、

大人のフィルターがかなりかかった原稿をそのまんま読むだけのものだったり、

そもそもそれに参加するきっかけ自体が主体的でなく先生に強制されてたりだとか、、、。

もともとこの子どもの参加のはしごは、シェリー・アーンスタインという人の「市民参加のはしご」に着想を得てつくられたものです。上述したように、子ども参加は、教育的であったり、お飾りだったりするわけですが、そのコンセプトは日本国内で近年叫ばれるようになった「市民参加」「市民協働」と同じ文脈で議論されなければいけません。

形骸化する生徒会

これは学校生徒会においても同様です。

生徒主導ではなく、先生主導。まさに御用生徒会は参画段階にないと言えるでしょう。

皮肉にも子どもの権利条約の存在は、授業で教えられるわけですが、その教室・学校内の子どものたちには権利が保障されていないということです。

このことに疑問をもった生徒さんは先生に「学校内で子どもの権利がどのように実現しているか」について聞いてみてはどうでしょうか。きっと適当なことを言われて、終わってしまいますが…。

スウェーデンの全国生徒会

スウェーデンでは、生徒会の権利基盤の強化を支援する全国組織である「全国生徒会」が存在しており、生徒の権利に基づく学校づくりに努めています。

スウェーデン全国生徒会の目標

⒈生徒と生徒会のための権利基盤を強化すること

⒉生徒が不当な成績を訴える権利を活用できるようにすること

⒊物理的、精神的、社会的な生徒の学校環境の改善

この組織の年間予算額は約3億5000万円であり、そのうち88%は国からの補助金とのこと。つまり生徒の権利に基づく学校づくりのために国が大きな支援をしているのです。

その参加はなんのためか?

ここまで見てきて最も重要なのは、その参加がなんのために行われているかということです。

僕らの活動(わかもののまち静岡)では、子ども・若者の参加の権利を基盤に活動をしています。

だから、参加型プロジェクトのプロセスのあらゆる段階で若者たちに「このプロセスで大丈夫ですか?」「何か意見はありませんか?」「どのように進めたいですか?」と投げかけ、対話をしながら進めることを心がけています。

そんな思いで、焼津駅前では若者主導による若者の秘密基地を運営しています。

自治体と連携した事業では、参加者集めのプロセスで学校を通して中学生・高校生が強制的にかりだされることが多々あります。もちろん参加者が集まらないといけないのもわかるのですが、そもそも強制的に参加してもらうことで、そのプロジェクトで本当にしたいことが達成されるのでしょうか?

「なぜ中学生・高校生がまちづくりに参加する必要があるのか?」

を本質的に考えていく必要があるのではないでしょうか。

 

 

【土肥潤也(子ども・若者の地域参画コーディネーター) プロフィール】

静岡のNPOで活動をしながら、東京の大学院に通う。

静岡と東京の2拠点生活をする実践者兼学生(研究者)

http://dohijun.com/junya-dohi/

 

【子ども・若者が政治的主体として参画できる社会に】

県知事も「おもしろい!」と言った若者の政治参加を進める3つの提案

http://dohijun.com/post-1747/

学生ボランティアを無償の労働力にするのは最低だ

http://dohijun.com/post-1409/

プロセスに当事者がいない居場所はただの押し付けだ

http://dohijun.com/post-1796/

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