日本のユースセンターに行ってみた。ゆう杉並①

はじめに

 「ユースセンター」という施設をご存じだろうか?ユースセンターとは、北欧を中心に発展しているユース世代(中・高校生世代)が放課後の余暇活動を過ごす場所のことである。この説明を聞いて、児童館を思い浮かべる人もいると思うが、ユースセンターは、日本の一般的な児童館とは異なり、若者の自主性や主体性がとても尊重される。

簡単に言えば、ユースセンターは若者たちの秘密基地であり、若者たちの意思決定が絶対の場所である。 そんな、ユースセンターは実は日本国内にも存在している。それらのユースセンターをひとつにまとめているものは(僕が探した限り)見つからないため、ここで何回かに分けてそんな国内のユースセンターを紹介していきたいと思う。ロビー 初回である今回は私が代表を務めるYECと長い付き合いで、長年国内でのユースワークに取り組まれている宮代哲男さん(ゆう杉並事業部主査)が働かれている杉並区立児童青少年センター「ゆう杉並」についてまとめることとする。僕が知る限り、国内では最も規模の大きなユースセンターである。

CIMG1937▲施設内のボルダリングができる設備

概要

(1)施設概要

開設年月日 平成9年9月1日
建物 鉄筋 地上2階 地下1階 延べ面積2895.71㎡
場所 東京都荻窪1丁目56番3号
運営時間 火曜日~土曜日 午前9時から午後9時まで日曜日・祝日等 午前9時から午後5時まで第1・3・5月曜日 午前9時から午後5時まで(親子の当日利用のみ)
利用の形態 〈個人による自由時間〉学生:午後5時まで 中・高校生:午後7時まで〈グループ(団体)による専用利用〉中・高校生のみ:午後9時まで
職員 事業係(18名)1日3ローテーション勤務常勤職員(児童指導)11名属託員(月16日勤務)7名
その他 愛称「ゆう杉並」開設に当たって、区民に公募した中から、とくに中・高校生から多く寄せられた「ゆう」を採用。友情、融和、遊び、優しさ等の意味が込められている。

(2)利用人数

  合 計 内訳
年間総数 66,228人 幼児0.4%、小学生12.1%、中学生21.2%、高校生59.3%、大人7%
1日平均 217.1人  
中・高校生グループ 328団体 バンド246、器楽11、スポーツ36、演劇6、ダンス11、その他17(ビデオ編集・アニメ・カードゲーム等)

中高校生運営委員会

個人的にゆう杉並で最も面白い取り組みは、中高生運営委員会である。施設を利用する中・高校生の中から数名が選ばれゆう杉並の運営委員会を組織し、利用者が心地よくゆう杉並を使えるようなルールづくりや、利用者同士が仲良くなれるイベントの運営などを行っている。 CIMG1924これは、中高生運営委員会がつくったルールの一例だ。このルールはマンガコーナーにあるもので、マンガは一人2冊まで借りることができることが書かれていて、館内には中高生運営委員会が取り決めたルールがそこらじゅうにある。 このように、自分たちのことは自分たちで決める。という考え方、「中高生自治」と呼ぶことができるかもしれないが、大人がただ命令としてルールをつくるのではなく、自分たちで決める。というプロセスを経ることによって、中高生の主体性が育つ、そして何よりも、自分たちで決めたルールであるから気持ちがいい。 子どもたちがルールを守らない。と、学校のルールや、学校がいであっても図書館や、公園などのルールを大人たちがどんどん厳しくしているのは最近よくあることだが、そんなことをする前に、そのルールを子どもたちに考えてもらってはどうだろうか?自分で考えたルールは、必ず守るはずであるし、そのほうがお互いストレスがたまらずに済む。

CIMG1946▲中高生運営委員会の会議の様子がうかがえるホワイトボード CIMG1947▲中高生運営委員会のカレンダー

ユースワーカー

ここまで、施設のハード面や、そこに来ている若者のことを紹介してきたが、実はこのセンターで一番注目しなければいけないのはそこで働く「ユースワーカー」である。(ユースワーカーとは、ユースセンターで働く、若者と関わる専門職の人のことでであり、スウェーデンなどでは資格として存在している。) そこにいる若者と自分との距離をはかり、個々人の動き、グループの中での動き、他のワーカーの動き、若者のモチベーションなど、様々な動きを察し、その場にあった支援(言葉や、振る舞い)を瞬時に選ぶ。それが、ゆう杉並で働くユースワーカーたちだ。 ゆう杉並では、職員研修がOJTで行われ、長年ユースワークに携わっている宮代氏を筆頭に、職員の育成が日々行われているそうだ。 普段、自分の意見を発する場があまりない中高生世代の若者にとって、自分の意見や考えを発するのは難しいこともある。そこで、ユースワーカーが若者の意見を最大限に引き出し、自分の意見を心地よくいうことができるような環境づくり。 そして、若者の「やりたい!」を応援するために、例えば、「バンドをはじめたい」という子がいれば、楽器が使えないといけないし、「鉄道が好きだ」という子がいれば鉄道についても知っていなければいけないし…など  様々なチャンネルを持っていないと対応することができなくなる。 宮代氏も「日々、勉強の積み重ね」であると、仰っていた。