環境の収支を合わせる”ミティゲーション”という考え方

“ミティゲーション”とは?

ミティゲーション(mitigation)とは、一般的には「緩和する、和らげる」という意味で使われており、環境政策におけるミティゲーションは、「開発による自然環境への影響を何らかの具体的な措置によっ て緩和すること」とされています。

つまり大規模開発によって失われた自然に見合った自然をなんらかの形で復元し、破壊を保全で相殺する方法のことです。環境省のホームページでは、生物多様性オフセット(代償ミティゲーション)として紹介されています。

生物多様性オフセット(Biodiversity offset)とは、開発などを行う際に、事業の実施主体者が、事業を回避することや事業による生態系への影響を最小化することを十分に検討し、それでもなおマイナスの影響を及ぼすおそれがある場合、汚染者負担原則(PPP: Polluters Pay Principle)に基づいて別の生態系を復元または創造することで、生態系への影響を代償(オフセット)する仕組みです。

具体的には、開発によって生じる影響を回避、最小化した上で、それでも残る影響を補償するために代替措置を講じるという優先順位「ミティゲーション・ヒエラルキー」にしたがって、生態系への影響を緩和することになります。ミティゲーションとは、緩和または軽減という意味です。

(環境省 HP)

わかりやすく言えば「環境収支」。

環境における収支を合わせて、プラマイゼロにする考え方です。もともとは1970年代後半のアメリカで発展した考え方で、現在は世界各国に取り入れらています。

ミティゲーションの5つの原則

ミティゲーションの発祥国であるアメリカでは、米国国家環境政策法(NEPA)に基づき環境諮問委員会が作成したNEPA施行規則において、環境への影響の環境の緩和手段(mitigation)として「回避」「最小化」「修正」「軽減」「代償」(ミティゲーション5原則)が示されています。 

ミティゲーション5原則

回避 特定の行為あるいはその一部を行わないことにより、影響全体を回避する。
最小化 行為とその実施において、程度と規模を制限することにより,影響を最小化する.
矯正 影響を受けた環境を修復、回復、または改善することにより,影響を矯正する
軽減 保護・保全活動を行うことにより、事業期間中の影響を軽減・除去する.
代償 代替の資源や環境で置換、あるいはこれらを提供することにより,影響を代償する.

ミティゲーションの方法を考えていくときは、5原則の順序に沿って検討していきます。

まず、開発における環境破壊の「回避」あるいは「最小化」を考え、それでも破壊されてしまう場合は「矯正」「軽減」し、最終的には「代償」の方法をとっていきます。

ただし「代償」は既存の環境になじまず、逆に自然を破壊する可能性もあるため、ドイツでは金銭を払うこともあるそうです。

我が国でのミティゲーション

日本においてもミティゲーションの議論が起こってはいますが、導入の難しさもあり、まだまだ慎重という様子。

千葉県のホームページでは、ミティゲーションの考え方についての説明されているページがあり、

「農業農村整備事業における環境との調和への配慮は、ミティゲーション5原則(環境配慮の5原則)に基づき行います」

という記述がありました。

環境政策は専門ではありませんが、新しい考え方を見つけ、こうしてひとつまとめてみました。

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