ギブが先か?テイクが先か?『ゆっくり、いそげ』

とっても素敵な本と出会いました。

本当にオススメです。とくに、コミュニティ仕事づくりに興味のある方にすすめたいです。ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~という本です。

クルミドコーヒーという西国分寺駅の近くにあるコーヒー店の影山さんが書かれた本で、大切なメッセージをたくさん残してくださっています。

一番印象に残ったのは、

テイクから入るか、ギブから入るか。それが問題だ(p45)

という言葉。

お店を出すということを考えると、目的は「お金を儲けること」になる。それは自分が何を得るかという意味で“テイク”ですよね。だけど、個人のお店って、「こんな場所を地域につくりたい」「来た人を笑顔にする場がつくりたい」という思いからはじまることが多い。これって何かを与えたいという意味で“ギブ”ですよね。本来の目的はギブからはじまっていたのに、いつまにかテイクが先になることってありませんか?この言葉を見て、ハッとさせられました。

そして、もうひとつ素敵だなと思ったのは、

「いいものを受け取る」ことは、その人を次の「贈り主」にすることなのだ。(p54)

どういう意味かというと、人っていいものを受け取ると、「あ、いいものを受け取ったな。なんかお返ししないと」って普通は思いますよね。だから、お店でお客さんには、商品やサービスを贈る気持ちで届けていく。そうすると例えば、700円分頼んだ人がもっと払ってもいいのになと思って、またお店に来てくれるかもしれないし、まわりにお店のことを紹介してくれるかもしれない。その気持ちは、もしかしたら帰り道でゴミを拾うかもしれないし、電車でおばあちゃんに席を譲るかもしれない。このことを「健全な負債感」と影山さんは表現していましたが、これって素敵なことですよね。

自分が贈り続けることで、どこかで誰かが誰かに対して、もしくは社会に対して贈る循環を生み出している。ギブから始めることで、ギブの循環を生み出していく。

  • 経済は目的ではなくて「手段」。しかし、主語が複数になるほど経済は目的化していくこと
  • 組織のために人がいるわけではないこと。その人の人生の道にお店があって、たまたまその人が立ち寄ったということ
  • 「自分をいかす」→「まわりにいかしてもらう」→「まわりをいかす」

とっても大事なことを教えてくれる本です。一度、お店に行ってみたくなりました。(近いうちにお邪魔してみようかな)経験に基づくお話だけではなく、章ごとにコラムを挟んで理論化しているのも特徴です。そのおかげでスッと話が落ちてきます。

著者の影山さんはもともとマッキンゼーにいたり、ベンチャーキャピタルの創業に関わったりと、面白いキャリアの持ち主なのです。こういってはなんですが(偏見かもしれませんが)、客観的に見れば「お金」が第一というような仕事をされていた方がこんな本を書かれているのも気になりました。(別に悪い意味ではなく、興味を持ったということです)どんな方なんでしょう。一度、会ってみたいな。

カフェのお話といえば、僕の好きな本のひとつに、『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』もあります。こちらも少し通じるところがあって合わせて読むといいかもしれません。