まちづくりの実験

「なにを」「どうやって」よりも「なぜ」が大事。ローカルイベント集客の大前提。

先週は、岩手は滝沢市にお招きいただき、ローカルイベントの集客セミナーを担当させていただきました。

この講座は、(一社)情報スタディ協会が主催するもので、昨年までは行政委託事業として実施されていたそう。あまりにも昨年の講座が好評だったことから、クラウドファンディングを活用したりして、今年は自主開催で実施されているとのこと!

滝沢は5年前に「町」から「市」になった自治体で、主催者からも、参加者からも、その勢いを感じる場になりました。

今回の講座に呼んでいただくきっかけになったのは、昨年ブログに書いていた「人が集まるイベントをつくる7つの原則」という記事を主催者の方が目をつけてくださったことでした。(ブログ書いとくもんだなぁ)

集客の相談を受けることはよくありますが、実は集客セミナーで講師をするのははじめての体験で、ドキドキしながら講座の準備をしていました。

とはいえ、大学1年生から数えれば約7年間、主催イベントをはじめ、中高生世代のプロジェクトサポートもしてきたので、音楽フェスやファッションショーから、公開討論会、講演会、無投票から考える会、遊び場のプロジェクトなど、本当に多種多様なイベントの企画運営に携わってきました。

こうした経験をふりかえり、体系化していくと集客のコツが見えてきた部分もあるので、そのことについてまとめてみようかなと考えています。(今回は前括のブログ記事をさらにアップデートして、まずは1つに絞ってお伝えします/実際の滝沢のセミナーでは7つについて触れさせていただきました)

ローカルイベントの集客の鍵は「口コミ」にあり。

まず、イベント集客を考えるときに、人が情報にアクセスする方法は大きく分けて2つあります。

ひとつは、チラシ・ポスター、SNS、マスメディアなどの広報媒体。

そしてもうひとつは、口コミです。

広報媒体の活用に関しては、テクニック的なことも含めて方法論が確立してきているので、今回は触れないことにしたいと思います。例えば、SNS広告の活用や、取り上げられやすいプレスリリースの作り方、チラシやポスターのデザインなどです。(僕もその専門家ではないですが、もちろん少しは勉強しています)

今回とくにお伝えするのは、口コミの広げ方です

これまでの経験に基づく個人的な感覚では、2,000人くらいまでのイベントまでは割と口コミ集客でいけると感じています。

そして、広報媒体を使った集客は、予算があればいくらでも強化することができますが、意外と効果が薄かったりします。

例えば、子どもに参加してほしいと市内のすべての学校で全校配布したとあるイベントは、申し込みがゼロで困ったと知り合いから相談を受けたことがあります。

チラシを刷ったり、各学校に連絡したりの労力や費用を考えると、とんでもないことですが、申し込みはなし。周知と集客はまったくの別物なのです。

また、今回の記事では、講座のなかで紹介した7つの原則の中のひとつ目「まず、本気で集めようとする」をさらに深掘り、「Why」を圧倒的に突き詰める重要性をお伝えしたいと思います。

サイモン・シネックの「ゴールデン・サークル」

イベント集客の大前提となるのは、目的やねらい(Why)を圧倒的に明確にすることです。

サイモン・シネックの提唱する「ゴールデン・サークル」は皆さんご存知でしょうか?

「ゴールデン・サークル」は、「何をやるか?」「どうやってやるか?」よりも「なぜやるか?」がとにかく大事という話です。

そんなことか!と思った方もいるかもしれませんが、この当たり前の話は、地域イベントを見ていると意外と抜けていることが多いように感じています。

実際に僕に寄せられた相談をもとに、具体例をお示ししたいと思います。

どこかでマルシェをやっているのを見て、なんだか楽しそうだから、うちの地域でもやろう!という話になった。マルシェという響きで、やりたい人が何人か集まってきて、最初の一回目は勢いでなんとなくできた。

でも、二回目、三回目と数を重ねると、なぜか運営から抜ける人が多くなってきた。最後は発案者である自分自身もなんのためにやっているのかわからなくなってきて、イベントをやめようか悩んでいる。

このような現象は様々なところで散見されます。

Whyではなく、WhatやHowベースの共感ではじまったプロジェクトやイベントは、主催者のメンバー間でいつかで空中分解してしまう傾向があります。

今回のケースでいえば「マルシェ」と一口に言っても、集ったメンバーがイメージするものはきっと違って、ちょっとの違いがどんどん大きな裂目になっていきます。

「なにを、どうやってやるか?」の話は具体的で楽しい時間ではありますが、なにかを進めるときは「なぜやるのか?どうしてやるのか?」のWhyを考える時間を圧倒的に大切にしたほうがよいと考えています。

いまあなたが関わっているイベントのWhyは一体なんでしょうか?

とりあえずやろう!は、それ自体を目的にすればいい。

とはいえ、勢いとノリで進めるのが大好きな僕は「とりあえずやろう!」で進めてしまうことも多いです。

やっとあとはとっ散らかってしまうような経験を過去にしたこともあり、学んだことは、「とりあえずやってみる」をイベントの目的にして、終わったあとに丁寧にふりかえることです。

勢いやノリはものすごいパワーとスピード感を持っています。

そこに「それなんのためにやるの?」を考えて立ち止まると、逆効果になってしまうこともあります。そんなときは、それをとりあえずやってみて、やったらどうなるか試してみることを目的にするのです。

例えば、先月は石川の加賀市で「みんなのアソビバ」を2日間、実施していました。

このプロジェクトは、僕が焼津市(静岡)で商店街を「みんなのアソビバ」にするイベントを目にされていた地元の方が、「加賀でもやってみたい!」という流れから始まったものです。

焼津と加賀、同じ遊びのプロジェクトではありますが、やる地域も、一緒にやるメンバーも異なれば、目的(Why)も変わってきます。

「とりあえず一回やってみましょう!」ということで、地元で毎年開催されているアートマーケットの日に合わせて、2日間の「みんなのアソビバ」を開催しました。

結果、暑い夏に水の遊び場もあって、アートマーケットのブースのなかで一番人が来ていたんじゃないか?と思うくらいの大好評で無事終了となりました。

一回目の目的は「とりあえずやってみよう」なので、つい先日に一回目を経てのふりかえりミーティングをしました。まず一回やってみることで共通認識ができて、関わっていた個々人の中に「これはよかった」「ここは違和感があった」「次はこうしてみたい」がグツグツと湧いてきます。

ふりかえりを通して、「なぜこのプロジェクトに取り組むのか?」「このプロジェクトを通して何を実現したいのか?」を共有することができ、「子どもが”加賀で遊んだ”経験が豊かになるまちを実現したい!」というWhyが浮かび上がってきました。(もちろんまだブラッシュアップは必要です)

「とりあえずやろう」が危険なときは、それでなんとなくうまくいって、そのままでもう一回やってしまうこうとです。目的の言語化が進まないままプロジェクトが進むと、必ずどこかで行き詰まりがでたり、メンバー内の関係が悪くなったりします。

山登りに例えれば、山頂がどこかわからないのにみんな闇雲に歩いている状態です。みんな目指している山頂がバラバラなので、好き勝手動くし、意思決定の軸がばらついてしまうのです。

Whyが明確なイベントは共感の連鎖をつくる

ちょっとイベント集客の話からズレてしまいましたが、結局Whyがきちんと詰まれば、集客もうまくいくというのが僕の見解です。

主催者がWhyを明確にして、気持ちよく取り組んでいるイベントは、参加者も気持ち良く参加ができるものです。逆に、なんのためにこれやってるんだろう?がわからないイベントは、参加していてもおもしろくないですし、参加したい気持ちにもなれません。

また、継続的なイベントの場合は、ぜひそのWhyを前面に出して広報をすることをオススメします。(もちろんあえて出さないということもあるので、ケースバイケースではありますが)

言葉がキャッチーだったり、見た目が楽しそうなイベントは最初は人が集まります。

しかし、継続していくと、その目新しさがだんだんと失われてしまい集客がうまくいかなくなっていきます。

イベントの広報やイベント内で、参加者に絶えず「なぜこのイベントを開催しているのか?」「このイベントを通じて、何を実現したいのか?」を共有すると、そのWhyに共感する人がイベントに集うようになります。

目的への共感は、ある意味、ひとつの運動に参加しているような感覚をつくり、その人たちがさらに口コミで情報を広げてくれるようになります。(悪用するとネズミ講みたいになるわけですが)

口コミで集客するときに、自分が有名人でない限り、どれだけ多くの広報協力者がいるかが重要になります。ひとりが連れてこれるのが5人くらいだとしたら、10人に連れてこれるのは50人になります。

そのときのひとりひとりの広報が力強く、影響力を持つものになるのは、やはりWhyが明確であることが重要です。

更に言えば、Whyが明確になると「どんな人に参加してほしいか?」「何人くらいに来て欲しいか?」も自ずと明確になっていきます。つまり、Whyが決まれば、広報や集客のプランも目鼻が立っていきます。

精神論的な話が若干続きましたが、集客の大きな前提となるWhyのお話でした。

また時間があれば、他の原則についても紹介をしたいと思います。

ABOUT ME
土肥 潤也
「コミュニティファシリテーター」という肩書きで、すべての人が主役になれるコミュニティづくりに取り組んでいます。コミュニティラボCO-℃(コード)代表、NPO法人わかもののまち 代表理事、日本シティズンシップ教育フォーラム運営委員、内閣府「子供・若者育成支援のための有識者会議」構成員