昨年頃から様々な場所でファシリテーションの講座をさせていただいています。
そのなかで、

ファシリテーションを勉強したいんだけど、良い本ありませんか?
と聞かれることが多いのです。
そんなときに「これがいいよ!」とサッとお示しできるように、「ファシリテーションをゼロから学びたい人のための本」10冊をまとめたいと思います。
ちなみに、こんなことを言うと本末転倒ですが….、ファシリテーションは本を読むよりも、実際に体験するのが一番です。
最近は色々なところでファシリテーション講座も開催するようになっています。ぜひ色んな講座に出かけて、色んなファシリテーターと出会って、色んなファシリテーションに触れてみてください!
その補論的な位置づけとして、スキルや考え方を蓄えるための読書だと考えてもらえればと思います。
ワークショップ−新しい学びと創造の場
言うまでもなく、まちづくりや教育、社内研修プログラムなど、幅広い現場で取り入れられている「ワークショップ」手法を、いち早く国内に紹介したベストセラー本。
ファシリテーション業界では、今やレジェンドの存在となっている中野民夫さんが、自身の体験をもとに書いています。
ファシリテーションやワークショップと言う言葉がまだ普及していなかった頃に、日本にその考え方や手法を紹介したい!という強い思いを感じることができる本でもあります。
ワークショップやファシリテーションに関心がある人であれば、是非一読を!
ファシリテーション 実践から学ぶスキルとこころ
上で紹介した中野民夫さんを中心に、日本のファシリテーションの萌芽期を支えた5人のファシリテーターたちによる共同の1冊。
本のタイトルの通り、それぞれのファシリテーターの実践報告から、ファシリテーションのスキルとこころを学んでいくことができます。ファシリテーションの入門の教科書としておすすめです。
ザ・ファシリテーター
ビジネスの現場にファシリテーションを取り入れたい人のために強くオススメしたいのが『ザ・ファシリテーター』
会社の課題にどのようにファシリテーションの手法や考え方を生かしていくかを、小説仕立てで紹介しているので、日々の業務にも活かせること間違いなし。
僕もよくペラペラと本をめくって、本を読み返しています。
リラックスと集中を一瞬でつくる アイスブレイク ベスト50
参加者が安心・安全な気持ちで話し合いをするための場づくりの基本、アイスブレイクに特化した1冊。マーキーこと、青木将幸さんが著者です。
アイスブレイクを導入している会議やワークショップを多く見ますが、ただやれば良いというわけではありません。参加者の状態やその場の目標に合わせて、適切なアイスブレイクを選ぶのもファシリテーターの重要なスキル。
どんな場面で、どんなアイスブレイクをするのが良いかを50の具体的な手法とともに紹介しています。
ファシリテーターの道具箱 −組織の問題解決に使えるパワーツール49
本の名の通りファシリテーターの様々な手法が書かれている「ファシリテーターの道具箱」。場面に合わせた49のファシリテーションの手法が書かれており、すぐに実践に活かせるようになっています。
「こういうワークショップがやりたいんだけど、手法が思いつかない」という人に、具体的な手法を紹介してくれる道具箱になっています。
この本は、手法を紹介することに重点を置いているため、上で紹介した『ワークショップ』や『ファシリテーション』の2冊も合わせて読むことをオススメします。
Graphic Recorder −議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書
いわゆる「グラレコ(グラフィックレコーディング)」の入門書。グラレコ界の第一人者の清水淳子さんが書かれています。
グラレコとは、話し合いや会議、ワークショップでの議論を、グラフィックで可視化することによって、対話を活性化させ、より良い成果に結びつけるための手法です。
綺麗に描くことではなく、対話のために描くがよくわかる一冊です。
ダイアローグ − 対立から共生へ、議論から対話へ
物理学者として有名なボームが「なぜ人は対立するのか」の問いに真正面から向き合った一冊。不毛な対立を避け、共生の道に進むために、ボームは「対話」を提案しています。
様々な場所で「対話」が大事だと言われますが、なぜ対話が大事なのか?対話とは何なのか?を、実践的なレベルにまで落として紹介しています。
ワークショップや話し合いを支える、深い対話を探求したい人にオススメです。
場づくりの教科書
「単発のワークショップで何が変わるんだ!」そんな違和感がある人にオススメしたいのが、長田英史さんの『場づくりの教科書』です。
単発の場から、継続的な場をつくり、それを組織として立ち上げ、その組織で会議をどう進めれば良いか、そしてその場をさらに発展させるためにどうすれば良いか?
まちづくり活動やNPOなど、参加者の主体性が求められる組織に関わられている方に役立つ内容となっています。手法的な話だけでなく、場づくりの哲学を節々から学び取ることができます。
市民の日本語 –NPOの可能性とコミュニケーション
「声が大きくて、理路整然と話ができる人だけではなく、声が小さくても、まとまっていなくても重要なことばを発する人もいる」
市民活動の初期を支えた加藤哲夫さんの名著『市民の日本語』です。これまでの上から下への伝達のようなコミュニケーションから、新しい時代の、新しいコミュニケーションを考えられる1冊です。
サブタイトルに「NPO」と入ってはいますが、新しいコミュニケーションについて考えたいすべての人にオススメです。
ワークショップデザイン論 −創ることで学ぶ
ワークショップのプロセスを「企画」「運営」「評価」に分けて、科学的な視点から分析し、理論的に紹介しているのがこの本。
著者がみんな大学教員ということもあり、「ワークショップを研究する」一冊になっています。哲学的な紹介をする本が多いなかで、こうした視点の本も非常におもしろいです。
著者のひとりの安斎勇樹さんは「ミミクリデザイン」というコンサルティングファームを経営しており、ファシリテーターのための学習プログラム「ワークショップデザインアカデミア」も運営しています。